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[ 第十二回 ]

日本脳炎予防接種変更のお知らせ

 平成22年11月より八戸市では日本脳炎予防接種に変更があります。内容は以下の通りです。

1. 第2期予防接種(9歳~13歳未満)の再開

第1期追加接種を終了している方(計3回接種)で9歳~13歳未満の方は第2期予防接種(1回接種)が可能となりました(従来は第2期はできませんでした)。

2. 第1期予防接種未完了の方に特例措置

第1期は7歳6カ月未満までに3回接種を行いますが平成22年3月31日までに未完了の場合、特例措置があります。

(1)過去に1回ないし2回接種の生後36ケ月~90ケ月未満、および 9歳~13歳未満の方:
6日以上の間隔で残りを接種すれば第1期終了となります       

(2)過去に未接種の9歳~13歳未満の方
:初回2回(6~28日の間隔)+1年後追加接種で第1期終了となります。

以上は定期接種ですが7歳6カ月~9歳未満は定期接種となりません (この年齢では任意接種扱いで有料となります。9歳になってから定期接種を受けて下さい)。用いるワクチンは乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(新ワクチン)です。 ご不明な点があると思いますがご相談下さい。

 

[ 第十一回 ]

赤ちゃんのデベソはどうしますか  -絆創膏固定法について-

 赤ちゃんのデベソ(正確には臍ヘルニアといいます)は時に見かけます。大抵の臍ヘルニアは自然に引っ込んで形も良くなるため(1歳まで80%、2歳まで90%の臍ヘルニアは治るとの報告があります)

 従来は何もせず経過をみていました。軽症の場合は大丈夫ですが中には時間が経っても臍が飛び出たままだったり臍の皮膚が余ってしわしわになり結局、臍の形を整える手術を希望される人もいます。近年絆創膏を使用した臍ヘルニアの固定法が発表され比較的大きな臍ヘルニアでも形良く治り手術を回避できる場合があります。

絆創膏固定法は

1)固定開始時期は早い方がいい(生後1ケ月頃~)が遅くても生後6カ月までには開始

2)自然経過だと臍ヘルニアが治るまで長期間を要するが絆創膏固定では1-2カ月間の固定で治る例が殆ど(大きな臍ヘルニアは治癒にはやや長くかかります)

3)改善度は自然経過より高い

4)固定により皮膚がかぶれることがある(中止すると治ります)

当院でもご希望の方には臍ヘルニアの絆創膏固定を行っております。ご相談下さい。

写真は1カ月の赤ちゃんの臍ヘルニアです。当院で絆創膏固定を行い、1ケ月で満足する形になりました。

固定前
固定前
絆創膏固定法
絆創膏固定法
固定開始1カ月後
固定開始1カ月後
 


 

[ 第十回 ]

子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」接種のお知らせ

 子宮頸がんは20-30代の女性で急増しています。その原因のほぼ100%は発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。

  HPVは性行為により感染しますが殆どの女性が一度は感染するごくありふれたウイルスです。発がん性HPVに感染しても多くは自然に排除されますが一部は子宮頸部に持続感染しそのごく一部が前がん病変、浸潤がんに進行します。

 発がん性HPVには多くの型がありますが子宮頸がんからは16型、18型が多くみつかります。サーバリックスはこの16型、18型の感染を予防するワクチンです。接種で16型、18型の持続感染、前がん病変を90%以上予防できます。

サーバリックスは既に世界100カ国以上で承認を受けています。

1. 接種スケジュール

 感染機会前の接種が望ましいため10歳以上の女性が接種対象です。男性は接種対象ではありません。第一推奨は10-14歳の女子、第二推奨は15-45歳の女性です。0、1、6カ月後の計3回、肩の筋肉(三角筋)に筋肉内注射します。

2. 料金

任意接種であるため有料です。当院では 14,700円/回(税込)です

3. 副作用

  サーバリックスは筋肉内注射であるため他の予防接種に比し疼痛の頻度が多い様です

  (他の予防接種の多くは皮下注射)。また接種部位が、赤くなったり腫れることがありますが深刻な副作用は少ないとされています。

4.接種後は

  サーバリックスはすべての型の発がん性HPVの感染を予防するわけではありませんので成人は接種後も子宮頸がん検診を受けて下さい。また既に発症している子宮頸がんや前がん病変をサーバリックスで治療することはできません。

5. 申し込み

  接種を希望される方はあらかじめ電話等でご連絡の上、ご予約下さい。


[ 第九回 ]

小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」のお知らせ

 肺炎球菌はインフルエンザ桿菌(ヒブワクチンで予防)とともに子供の髄膜炎などの重症感染症の原因となる細菌です。肺炎球菌は病原性が強いことで知られ症状の進行が速く乳幼児では死に至ることもあります。また近年耐性化が進み抗生剤の治療効果が悪く大きな問題になっています。プレベナーは約90種類ある肺炎球菌の型のうち重症感染症を起こしやすい7種類の型を選んでワクチン化したものです

(正式には沈降7価肺炎球菌結合型ワクチンといいます)。従来からある23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は主に高齢者を対象とした接種が推奨されており乳幼児には効果はありませんがプレベナーの接種で2歳未満でも有効な免疫が得られます。プレベナーは米国で2000年より導入され現在97カ国で使用されています。米国ではプレベナーの導入で肺炎球菌による重症感染症の顕著な減少が実証されました。

子供さんを髄膜炎より守るにはヒブワクチンとともにプレベナーも必要です。

 

1. 肺炎球菌感染症の実態

  小児の細菌性髄膜炎の2割、菌血症(血液に細菌が感染した状態)の8割以上は肺炎球菌が原因です。これらは侵襲性感染症といわれ乳幼児に多くみられます。

 このため病気に罹る前の乳児期早期からの予防接種が望まれます。

2.プレベナーの適応

 肺炎球菌による侵襲性感染症の予防に適応があります。 

3. 接種スケジュール(対象:生後2カ月~9歳以下です)

 ①接種開始齢:2カ月~7カ月未満(この時期の開始が標準です)

   初回免疫 3回接種(27日以上の間隔)

   追加免疫 1回接種
   (初回終了後60日以上あけて、標準12-15ケ月時)

 

 ②接種開始齢:7カ月~1歳未満

   初回免疫 2回接種(27日以上の間隔)

   追加免疫 1回接種
   (初回終了後60日以上あけて、12カ月以降時に)

 ③接種開始齢:1歳~2歳未満  2回接種(60日以上の間隔)

 ④接種開始齢:2歳~9歳以下  1回接種

 他の予防接種と同時接種が可能です。このため接種時期が重なりやすい三種混合(DPT)予防接種と同一日に接種することもできます。

4. 料金

定期接種化が望まれますが現在は任意接種であるため有料です。当院では 8,800円/回(税込)です

5. 副作用

  プレベナーは接種部位が、赤くなったり、熱をもったりあるいは腫れることがありますが深刻な副作用は少ないとされています

6. 申込み

  ヒブワクチンと異なりワクチンの供給量は現在確保されておりますが接種を希望される方はあらかじめ電話等でご連絡の上、ご予約下さい。




[ 第八回 ]

日本脳炎予防接種は結局どうなったのか

日本脳炎の予防接種は平成17年6月以降、積極的なお勧めの対象外となっていました。これは接種後ADEM(アデム:急性散在性脳脊髄炎)という脳神経系の病気にかかる方がみられ日本脳炎ワクチンとの因果関係が否定できないと判断されたためです。
日本脳炎ワクチンはウイルスを感染させたマウスの脳を用い精製したもので極めて微量な脳組織成分が残っている可能性が完全には否定できませんでした。このためマウス脳を用いない組織培養での日本脳炎ワクチンが求められていました。
平成21年6月より発売された新ワクチンはこのタイプで正確には「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」といいます。八戸市でも接種可能ですが種々の注意点があります。ご理解の上、ご検討下さい。
 

  1. 日本脳炎ワクチンには従来ワクチン(マウス脳由来の日本脳炎ワクチン)と新ワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)がありどちらも接種は可能です。しかし従来ワクチンは積極的な接種のお勧め対象外のままです。新ワクチンも供給量がまだ十分ではないこと、また多くの小児に対して使用された経験がないこと等より積極的な接種のお勧め対象外になりました。

  2. 接種対象者(八戸市の場合):対象年齢内では無料で接種できます
     (1)第1期対象年齢:36カ月以上90カ月未満(計3回)
        第1期初回 2回(標準 3歳)
        第1期追加 1回(標準 4歳)

     (2)第2期対象年齢:9歳以上13歳未満(1回)
        標準 小学4年生
  3.      
  4. 新ワクチンは第2期の定期予防接種としては使用できず第1期の定期予防接種のみとなります。
    また過去に従来ワクチンで第1期を1~2回接種した場合、残りの第1期には新ワクチンを使用できず、従来ワクチンでの接種となります。

  5. 従来ワクチンは第1期、第2期ともに使用可能ですが希望される方は同意書への署名が必要です。
    新ワクチンの接種にあたっては同意書は不要です。

  6. 従来ワクチン、新ワクチン共に接種は積極的なお勧めの対象外であるため広域接種の対象外です。

  7. 従来ワクチン、新ワクチン共に接種ご希望の方は医療機関にお申し出頂き、医療機関より市に申し込む形です(医療機関内には通常、日本脳炎ワクチンは常備されておりません)。
    新ワクチン納入には1カ月程度要する場合があります。





[ 第七回 ]

薬に関する二つのご質問にお答えします

今回は外来でよく聞かれる薬に関するご質問にお答えします。

1. 母乳を与えている母親は風邪薬など飲んでいいですか?
殆どの薬の添付文書には「薬が母乳中に移行するので投与を避けることが望ましい」と書いてあります。実際母親が服用した多くの薬は母乳に移行します。しかしその量はごくわずかであるためお子さんに影響がでる場合は殆どありません。またお母さんが服用する薬は必要があればお子さんにも投与する場合もあるわけです。そのため薬が「母乳に移行するか」が問題ではなく「お子さんが摂取したらどうなるか」を考えるべきです。  

  1. お母さんが風邪などでごく短期間だけ薬を服用する場合は通常問題ありません。気になるなら母乳を与えた直後にお薬を服用するなどの工夫が有効です。

  2. ただし抗がん剤、移植患者さんの免疫抑制剤、多量の精神科関係の薬を服用している場合はお子さんへの影響や授乳に伴うお母さんの負担を考えると断乳した方が無難です。
以上は米国の小児科学会薬剤委員会からの報告に基づいています。


2. 発熱しているときは解熱剤は使った方がいいですか?
発熱は感染症に対する体の防御反応とされています。つまり熱を出すことで体の免疫機能や白血球の働きが高まり細菌やウイルスなどの活動が弱まります。このため解熱剤は理論的にはこれとは逆になるため病気の改善にはつながりません。ただし発熱に伴う不快感や食欲低下等は解熱剤を用いることで一時的にせよ軽減します。このため
  1. 発熱があっても機嫌や食欲が良く比較的元気な時は解熱剤は基本的には不要です。

  2. ただし発熱に伴い体力の消耗等がみられるときは解熱剤を使用して構いません。

  3. 以前熱性けいれんが起きたお子さんの再度のけいれんの予防には解熱剤は無効です。
けいれん予防の座薬(ダイアップ)等を用いるべきです。





[ 第六回 ]

おたふくかぜで難聴になる場合があります

おたふくかぜ(ムンプス)の正式病名は流行性耳下腺炎といい、ウイルスによる病気です。 その予防接種はありますが任意接種であるため接種率が低く、流行は繰り返しみられます。 髄膜炎や精巣炎などの合併症をきたすことはありますが一般に経過は良好でむしろ罹患して しまった方がいいと考えている親御さんもいます。でもそれでいいのでしょうか。 おたふくかぜで難聴(ムンプス難聴)をきたすことがあるのは知っていますか。これは以下の特徴があります。

  1. おたふくかぜの症状が出る数日前から出て1週間以内に急性に発症します。
  2. 通常は片方の難聴ですが両方の難聴になることがあります。
  3. めまい、嘔吐、耳鳴りを成人では伴うことがありますが小児では少なく発見が遅れがちです。
  4. おたふくかぜ症状の重症度、髄膜炎の有無との関連はないようです。
  5. 不顕性感染(おたふくかぜにかかっても症状が出ない場合)でも難聴になる場合があります。
  6. 難聴は一般に高度で治療困難、永続的な障害となります。
頻度は年間300~650例との報告や3100人以上との報告などまちまちです。近畿地方の 小児科の先生の報告ではおたふくかぜ7400人中7例のムンプス難聴が報告され決して稀では ありません。おたふくかぜは決して軽い病気ではなくムンプス難聴という重症な合併症があります。 これを予防するには予防接種しかありません。積極的な接種を期待します。





[ 第五回 ]

溶連菌は皮膚に病気をつくることがあります
  1. 溶連菌とは?
    溶連菌とはA群β溶血性連鎖球菌という細菌です。その感染症の代表は咽頭扁桃炎で幼稚園児や小学生に多くみられます。発熱し喉が痛くなり喉を見ると真赤です。他にはイチゴ舌や首のリンパ腺が腫れたり発疹が出たりします(以前は猩紅熱と呼ばれていました)。 溶連菌による咽頭扁桃炎は初夏や冬に多く現在当院にも時々患者さんが来ます。


  2. 溶連菌の皮膚病変
    しかし溶連菌が皮膚に炎症を起こすことは案外知られていません。主にお尻の周囲に赤くジュクジュクした発疹ができます(肛囲皮膚炎といいます)。発疹と健康な皮膚との境界ははっきりしています。溶連菌は「しわ」を好み肛囲以外に首や大腿、外陰部などに炎症を起こすことがあります(下の写真を参考にしてください)。溶連菌迅速診断検査を用いると診断は容易です。細菌の感染症ですのでステロイドやカビ用の軟膏を用いても効かず抗菌薬を用いないと改善しません。溶連菌による皮膚病変は後に急性糸球体腎炎という腎臓の病気を引き起こすことがあるためしっかりした治療が必要です。通常の軟膏で効かない皮膚炎は溶連菌感染の可能性がありご相談下さい。


  3. 大腿部 首





[ 第四回 ]

ヒブワクチンについて

ヒブ(Hib)とは「インフルエンザ菌b型」という細菌です。冬に流行るインフルエンザウイルスとは別です。子供の細菌性髄膜炎(脳や脊髄を包む髄膜に細菌が入り炎症がおきる病気)は死亡例や後遺症例が稀でない非常に怖い病気ですがHibはその主要な原因菌です。髄膜炎などHibによる重症な病気を予防するためヒブワクチン(名称アクトヒブ)接種が今回開始されます。(12/19開始予定)ヒブワクチンは既に欧米で20年前より導入され現在ではアジア・アフリカを含む110国以上で使用されHib髄膜炎など重症感染症の激減などその効果は実証されています(このワクチンが普及していないのは先進国では日本のみです)。子供さんを髄膜炎より守るワクチンで長い間開始が望まれておりました。

  1. 対象 生後2カ月以上5歳未満
    (本来は5歳未満のお子さん全員に受けて頂きたいワクチンです)


  2. 接種スケジュール
    ①接種開始齢:2カ月~7カ月未満

    (Hib髄膜炎は0~1歳のお子さんに多くこの時期に開始することが
    望ましいとされています)
    初回免疫 3回接種(3-8週の間隔)
    追加免疫 1回接種(初回免疫後1年目)

    ②接種開始齢:7カ月~1歳未満
    初回免疫 2回接種(3-8週の間隔)
    追加免疫 1回接種(初回免疫後1年目)

    ③接種開始齢:1歳~5歳未満  1回接種

    尚、必要と判断された場合、他の予防接種と同時に接種可能です。このため接種時期が重なりやすい三種混合(DPT)予防接種と同一日に接種することもできます。(左右の腕それぞれにヒブワクチンと三種混合を接種)


  3. 料金
    定期接種化が望まれますが現在は任意接種であるため残念ながら有料です。当院では 7,000円/回です。


  4. 副作用
    アクトヒブは接種部位が、赤くなったり、熱をもったりあるいは腫れることがありますが深刻な副作用は非常に少ないとされています。


  5. 申込み
    現在ヒブワクチンの本数が少ないため各医療機関が接種希望者を確認しメーカーに注文する必要があります。このため接種をご希望される方はあらかじめ受診時や電話等で当院にご連絡の上、ご予約下さい。(予約なしに当日接種を希望されても対応できません)。尚、各医療機関で使用できるヒブワクチン数が制限されており希望者が多い場合、接種をお待ちいただく可能性もあります。


  6. その他
    ヒブワクチンはウシ成分を製造工程に使用しています。欧州薬局法委員会からは医薬品製造に適している原料であることの証明書が発行されており接種による伝達性海綿状脳症(いわゆる狂牛病) のリスクは全くないとは断言できませんが理論的には極めて低いものと考えられています。ヒブワクチン接種の理論上の危険性と、接種により得られる利点をご理解の上で接種していただきますようお願いいたします。





[ 第三回 ]

インフルエンザ予防接種について-その2

インフルエンザの予防接種は10~12月がお勧めされている期間です。皆様よりよく質問される内容をQ&Aでお答えいたします。ご参考にしていただければ幸いです。



Q1:インフルエンザ予防接種は生後いつからできますか?

A1:インフルエンザワクチンの添付文書には年齢の下限は書いていません。このため極端な話では出生時に接種しても薬事法上は問題ありませんが通常は6カ月未満のお子さんには接種しません。これはこの月齢ではワクチンの効果、副反応がはっきりしないこと、またお母さん由来の免疫が多少期待できることなどによります。1歳以上の幼児では種々の報告はあるものの有効性を認めているものが多く接種が望まれます。6カ月以上~1歳未満の乳児ではワクチンの有効性の評価は不十分で1歳以上より効果が低いことが予測されます。一方米国ではインフルエンザワクチンの接種推奨対象者の一つに「6カ月以上5歳未満の小児」が挙げられています。結局6カ月以上の乳児では1歳以上の幼児に比べ効果は低いものの無効とは言えないようです。この月齢のお子さんに接種するかどうかはお医者さんと相談して下さい。



Q2:授乳中ですがインフルエンザ予防接種は受けられますか?

A1:授乳しているお母さんもインフルエンザ予防接種を受けてかまいません。母乳に移るワクチンの成分はごく微量でお子さんに悪影響を及ぼすことはありません。お子さんの感染を予防するという意味もあり授乳しているお母さんも含めご両親のインフルエンザ予防接種はお勧めされています。



Q3:妊娠していますがインフルエンザ予防接種は受けられますか?

A3:インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで病原性をなくしたウイルスの成分を用いています。これはお腹のに赤ちゃんに影響はないと考えられています。また妊娠している女性はインフルエンザにかかると重症化する可能性があり米国ではすべての妊婦さんにインフルエンザ予防接種を勧めています。このように妊娠していても接種可能ですが初期は自然流産の確率が高いため妊娠14週以降が望ましいと考えられています。



Q4:接種部位はもんだ方がいいのですか?

A4:接種部位をもむ必要はありません。以前は接種後赤くなったり硬くなったりする副反応を軽くする目的で接種部位をもむ人もいましたが現在ではもんでもこれらは期待できないと考えられています。更にもまない方がこれらの反応が出にくく、もむとアレルギー反応の頻度が高くなることが予想されるとの報告もあります。




[ 第二回 ]

インフルエンザ予防接種は卵アレルギーがあってもできる?

インフルエンザ予防接種には鶏卵成分が含まれているため卵アレルギーの方は接種要注意者です。しかしその量はごく微量であるため実際にアレルギー反応を起こす頻度は非常に低く卵アレルギーの大多数の方は問題なく接種できます。ただし過去に卵摂取でアナフィラキシー(蕁麻疹以外に呼吸がゼーゼーしたり顔色が悪くなったり何回も吐くなどの症状)など重症な症状がみられた場合や卵白血清特異的IgE抗体(RAST)がスコア5以上の場合は念のためインフルエンザ予防接種を薄めた液で皮膚テストを行いその結果で接種すべきか判断することが推奨されています。ご不明な点はお問い合わせ下さい。






[ 第一回 ]

9月の流行:小児喘息、手足口病について

現在流行中の病気の説明やタイムリーな医学情報を載せていきたいと思います。少しでもお役にたてば幸いです。今回は9月に患者さんが増えてきた小児喘息と手足口病についてです。

小児喘息

喘息とは発作的にヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸音(喘鳴と言います。笛を吹くような音なので笛声喘鳴とも言います。)が聞かれ呼吸困難を伴う病気です。喘息の喘鳴は主に息を吐く時に聞こえます。喘息発作は気象の変化と因果関係があると言われ秋は朝晩の冷え込みなどで喘息症状が不安定になりやすい時期です。喘息では肺の中の気管支に長期間持続する炎症がみられますがウイルス感染やダニなどを吸い込むと炎症が悪化し空気の通り道が狭くなり喘鳴を伴う呼吸困難になります。喘息の治療薬には急性発作に使う薬と気管支の炎症を抑える長期管理薬(コントローラー:吸入ステロイド、ロイコトルエン受容体拮抗薬など)がありますが喘息は長く続く病気であるため後者はとても重要です。最近症状が不安定な喘息の方は長期管理薬をちゃんと用いているか見直す必要があります。それが問題ないなら治療内容の変更が必要です。
手足口病

手足と口内に赤いポツポツと小さな水疱をつくる病気です。発疹はお尻周囲や膝周囲、下肢全体にも見られることがあります。原因はエンテロウイルス群(コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなど)によるウイルス感染で主に夏に流行します。子供にみられますが大人も罹患することがあります。口内では潰瘍を形成することもあり痛くてよだれが多く出る、食欲低下などもみられますが通常数日で軽快します。ウイルス感染なので特効薬はありません。稀ですが髄膜炎、さらに稀ですが脳炎を伴うことがあり発熱、嘔吐、頭痛などの症状には注意が必要です。ウイルスは喉から1~2週間、便より数週間排泄されるため登校、登園は発疹があっても他人への感染予防を理由に停止する積極的な意味はなく患者さん本人の状態で判断するとされています。


(手足口病の発疹)